連載「Obsidianを第二の脳に」第1回

Obsidianを第二の脳にする 第1回: 保管庫の作成からフォルダ設計、最初のデイリーノートまで

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メモは「書いて終わり」じゃなくて「繋いで育てる」ものだ。この連載では、Obsidianで自分用の「第二の脳」を組み上げて、最終的にはその運用をAIに任せるところまでを全4回でやる。第1回の今日はインストールから保管庫の作成、フォルダ設計、最初のデイリーノートまで。読みながらそのまま手を動かせば、今日中に箱が立ち上がる。

先に連載全体の狙いを言っておくと、この連載で作る仕組みは、最終的に運用をまるごとAIに丸投げできる形になっている。だから途中で技術っぽい話が出てきても身構えなくていい。実際に手を動かすのはAIで、あなたがやるのは方針を決めて指示することだけだ。押さえてほしいのは細かい操作の丸暗記じゃなくて、「どういう考え方で、AIに何を頼めばいいか」という基本の型の方。「これ自分にできるかな」じゃなくて「これAIに頼めばいいんだ」の気持ちで読み進めてほしい。

結論 Obsidianで自分用の「第二の脳」を作る連載の第1回。保管庫(vault)を作り、中心の「brain」と周りの「生ログ島」の二層でフォルダを設計し、デイリーノートを始める。難しい所は最終的にAIに任せられるので、考え方だけ掴めばいい。

なぜ「第二の脳」が要るのか

書きっぱなしのメモは二度と開かない。スマホのメモ帳に走り書きした思いつきを、あとから見返して何かに活かせた経験のある人は少ないと思う。理由ははっきりしていて、メモを引き出す手段が「自分の記憶」しかないからだ。書いた本人がメモの存在を忘れた時点で、そのメモはこの世に無いのと同じになる。

だから発想を変える。メモを「その場で書いて流す紙切れ」じゃなく、「あとで繋ぐ前提、あとで自分とAIが読む前提で貯める箱」にする。ノート同士がリンクで繋がっていれば、どれか一つに辿り着きさえすれば芋づる式に関連が出てくる。自分の記憶力に頼らなくていい。これが第二の脳の考え方で、大事なのは「箱を最初からそのつもりで設計しておく」ことだ。あとから設計し直すのは、メモが増えれば増えるほどつらくなる。

正直に言うと、僕がこの形に行き着いたのは、「第二の脳」や「Obsidian」という言葉は最近やたら見かけるのに、具体的にどうフォルダを切ってどう運用するかがどこにもまとまっていなくて、自分で試行錯誤するしかなかったからだ。この連載は、その回り道をあなたが省けるように書いている。

Obsidianを選ぶ理由は3つ

ツールはObsidianを使う。理由は3つある。

  1. ノートの実体が自分のPC上のMarkdownファイルであること。データが業者のサーバーの中にしか無いツールと違って、サービスが終わってもファイルは全部手元に残るし、別のツールへいつでも引っ越せる。ロックインされない。
  2. Markdownで書けること。#で見出し、-で箇条書きの、ただのテキストだ。ただのテキストだからこそ、あとでAIやスクリプトに読ませるのも簡単になる。連載の後半で効いてくる。
  3. 双方向リンク。ノートの本文に[[ノート名]]と書くだけで別ノートへのリンクになり、リンクされた側にも「バックリンク」として自動で表示される。AとBを繋ぐと、Bを開いたときに「Aから繋がれている」が見える。「繋いで育てる」をやるための核がこの機能だ。

保管庫(vault)を作る

Obsidianではノートを入れる箱を「保管庫(vault)」と呼ぶ。実体はただのフォルダだ。作る手順はこう。

  1. 公式サイト(obsidian.md)を開いて「Download」ボタンからインストーラをダウンロードする。個人利用は無料。
  2. インストールして起動する。
  3. 最初の画面の上部に言語のドロップダウンがあるので「日本語」を選ぶ。
  4. 「Create new vault(新しい保管庫を作成)」の行にある「Create(作成)」ボタンをクリックする。
  5. 「Vault name(保管庫名)」に名前を入れる。なんでもいいんだけど、あとでスクリプトから触るときのことを考えると半角英数が無難だと思う。「second-brain」とかで十分。
  6. 「Location(保存場所)」の「Browse(参照)」で保管庫を置く場所を選ぶ。ここが今日いちばん大事な選択で、クラウド同期フォルダの中に作っておくと、スマホの公式アプリから同じ保管庫がそのまま開ける。iPhoneなら先にスマホ側へ公式アプリを入れて、アプリがiCloud Driveに作る「Obsidian」フォルダの中に保管庫を置くのが確実だ。これで「電車で思いついたことをiPhoneで放り込んで、家に帰ってPCで続きを書く」が追加の設定なしでできる。
  7. 「Create(作成)」をクリックすると保管庫が開く。まっさらな画面が出たら成功だ。

ちなみに、すでにMarkdownのメモを溜めたフォルダを持っている人は、同じ起動画面の「Open folder as vault(保管庫としてフォルダを開く)」でそのフォルダをそのまま保管庫にできる。保管庫の実体はただのフォルダなので、既存の資産を捨てる必要はない。

フォルダ設計: 中心に「brain」、周りに「生ログ島」

箱ができたら、中の区画を先に切る。僕の保管庫は、中心に一つの蓄積知「brain」があって、その周りに時系列の記録「生ログ島」が浮いている二層構造にしている。フォルダで見るとこうだ。

保管庫/
├─ ホーム.md          ← 人間用の入口
├─ index.md           ← AI用のカタログ(1ノート1行)
├─ log.md             ← 作業の追記ログ
├─ 勉強/              ┐
├─ 仕事/              │ brain(知識ノートは必ずこの柱フォルダに置く。
├─ 開発/              │        直下には置かない)
├─ 生活/              ┘
├─ 日記/              ┐
├─ セッションログ/      │ 生ログ島(時系列の生記録。知識ノートとは
└─ 会話アーカイブ/      ┘  リンクで繋がず独立させる)

上から順に説明する。

直下に置くファイルは3枚だけ。「ホーム.md」は人間用の玄関で、各柱のよく使うノートへのリンクを並べておく。保管庫を開いたらまずここ、という一枚だ。「index.md」はAI用のカタログで、1ノートにつき1行「ノート名: 何のノートか」を書いた目次だ。たとえば「睡眠の質: 深い睡眠を増やす具体策まとめ」のような1行を、ノートを作るたびに1本追記していく。AIに保管庫全体を把握させるときの入口になる(第3回で効いてくる)。「log.md」は保管庫に対して何をしたかを上から追記していく作業ログ。この3枚以外を直下に置かないのがルールだ。

brainの本体が柱フォルダ群で、知識として貯めるノートは必ずどれかの柱に入れる。柱は「自分の生活の柱」で切るのがコツで、たとえば勉強、仕事、開発、生活、みたいに割る。あなたの柱はあなたの生活で決まるから、そのまま真似せず自分の柱に置き換えてほしい。趣味と仕事と学業、みたいに大きく割れていれば最初は3本でもいい。

その外側が生ログ島。日記、AIとの作業セッションの記録、AIとの会話アーカイブといった「時系列にただ流れていく記録」はここに溜める。ちなみに会話アーカイブの中はさらに学術、開発、生活、雑多の4つに分けているんだけど、この話は第4回でちゃんとやる。

で、なぜ知識と生ログを分けるのか。両者は引き方が違うからだ。生ログは「いつ」で引く流れで、知識は「何」で引く蓄積。これを混ぜると、検索したときに日記の走り書きが大量にヒットして目当ての知識ノートが埋もれるし、「どこからもリンクされていない孤立ノートを探して繋ぐ」という保守作業(第2回でやる)も壊れる。生ログは孤立していて当たり前だから、混ざっていると孤立判定が意味をなさなくなる。だから生ログ島は知識ノートとリンクで繋がず、独立した島として浮かせておく。

ちなみにこの二層の理屈、ちょっと込み入って見えたかもしれない。でも安心してほしくて、フォルダを切る作業もあとの保守も、後々AIの仕事になる。ここで掴んでおくのは「知識と生ログは分けて貯める」という方針だけでいい。

最初のデイリーノート

区画ができたら、いよいよ書き始める。最初に用意するのはデイリーノートだ。

  1. 画面左下の歯車アイコンをクリックして「設定」を開く。
  2. 左のメニューから「コアプラグイン」をクリックする。
  3. 一覧の中の「デイリーノート(Daily notes)」のトグルをオンにする。
  4. オンにすると項目の横に歯車が出るので開いて、「新規ファイルの保存先」に「日記」と入れておく。これでデイリーノートが自動的に生ログ島へ溜まる。
  5. 設定を閉じると、画面左端の縦のアイコン列に「今日のデイリーノートを開く」(カレンダーのアイコン)が増えているのでクリックする。
  6. 今日の日付がタイトルのノートが開く。

開いたら、とりあえず全部そこに放り込む。思いつき、読んだ記事のリンク、授業のメモの断片、気になった引用。一日の終わりのデイリーノートが、

- レポートの締切、来週の金曜に延びた
- https://…(あとで読む記事)
- 第二の脳、フォルダ設計をブログに書けそう

みたいな脈絡のない箇条書きの山になっていて構わない。どのフォルダに置くかは考えない。「これはどこに入れるべきか」を入口で悩み始めると、書くこと自体をやめてしまうからだ。分類してリンクを張って育てる作業は第2回でやる工程の仕事で、今日の仕事じゃない。

受け皿を一つ作って、毎日そこに放り込む。第二の脳の最初の一歩はこれだけだ!

ここまで、実はAIに任せてもいい

正直に言うと、ここまでの土台づくりは全部AIに投げられる。僕も自分の保管庫はそうやって組んだ。

やり方はこう。まず空のフォルダを一つ作って、Obsidianの「Open folder as vault」でそれを保管庫にする。あとはClaude CodeみたいなAIコーディングツールをそのフォルダで立ち上げて、「brainの柱フォルダ(勉強、開発、みたいな自分の柱)と、生ログ島のフォルダ(日記、セッションログ、会話アーカイブ)を作って。直下にはホーム.mdとindex.mdとlog.mdだけ置いて、それぞれの役割はこれ」と渡すだけ。フォルダも、空の入口ファイル3枚も、数分で出来上がる。手でフォルダを切る作業はまるごと省ける。

さらに第3回でやるけど、保管庫の運用ルール(何をどこに置くか、リンクをどう張るか)を書いた指示書もAIに書かせて、以降の整理そのものをAIに回せる。覚えることを減らして、自分は中身を放り込むことに集中できる。

ただ一つだけ丸投げしちゃいけないのが、柱をどう切るか。これは「自分の生活の何を貯めたいか」の話で、自分の頭の地図そのものだ。ここまでAIに決めさせると、自分の脳じゃなくて他人の脳ができあがる。柱だけは自分で決めて、あとの手作業はAIに渡す、くらいがちょうどいいと思う。

次回から

第2回はノートの育て方。1ノート1テーマの原子ノートに割って、網目状にリンクを張り、index/logを回す話をやる。第3回はAIにこの保管庫を運用させる仕組みで、schema層とingest/query/lintという3つの動線を作る。第4回は日記や会話ログの生ログを溜めて、知識へ蒸留する話だ。箱はもうできたので、次からは中身を育てていく。

繰り返しになるけど、この先の工程も最後はAIに渡す前提だから、難しそうな回も気楽に来てほしい。

よくある質問

Obsidianの保管庫(vault)とは?

ノートをまとめて置くフォルダのこと。Obsidianはこの保管庫の中のMarkdownファイルを管理する。まずは1つ作るところから始める。

Obsidianは無料で使える?

個人利用は無料。ノートは自分のPCにMarkdownで保存されるので、他サービスに縛られず動作も軽い。

ノートのフォルダはどう分ければいい?

この連載では、中心に育てる知識「brain」、周りに日々の生ログを置く「島」の二層にしている。最初はシンプルでよく、運用しながら整えればいい。